第十章 解放

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俺とミナトはそこに立ったまま。 「・・・ミナト?」 「・・・俺さ、、、今日のリンのスピーチ聞いてさ。凄い悔しかった。 ・・・分かってたんだけどさ、そんなん初めから。」 「・・・様子が変だったのってそれで?」 「俺、知ってたからさ。リンがどれだけシノを大切に思ってるか。 あの先生だって、リンのこと、よく知ってるみたいで。 あーあ。ホントはこんな事言うつもりなかったのに・・・。」 くそっ、と下を向くミナトは何だか子供みたいで。 可愛いっていったら怒られそうだけど、つい笑ってしまう。 だって・・・、 「・・・ソレッテ、ヤキモチデスか?」 そう聞くと、 「・・・悪いかよ。 リンこそ、何か思うことあるんじゃないの?」 あっさり肯定されて、なんか恥ずかしくなってきた。 しかも、俺もいろいろ考えてたのもバレてるみたいだし。 今だったら俺の思ってることもちゃんと伝えられるかもしれない。 「・・・俺もさ、葛藤、みたいなのはあるよ。 ミナトの事好きだし、一緒にいれるのはうれしい。 けど、ミナトはモテるじゃん。俺は男だし、周りに付き合ってます、なんて言えないじゃん? 今日みたいに結婚式もできない。子供も産めないし。」 ミナトは黙って聞いてくれた。 「恋とか愛とか、情熱的に相手を想えるのは良いことなんだろうけど、お互い歳をとってくし、5年後、10年後も今と変わらない気持ちでいられるかわかんないからさ。 だから、今の自分の気持ちを優先していいのか分からなくなる時があるよ。」 俺はミナトに後悔して欲しくない。 ミナトが後悔したら俺もそれを後悔すると思うから。      黙って聞いていたミナトは、長い溜息をついた。 「・・・やっぱさ、リンって基本ネガティブ思考だよなぁ。まぁそれがリンらしいんだけどさ。 ・・・俺は、5年後だろうが10年後だろうが今と変わらずリンのことは大切だと思ってるよ。絶対。 それに・・・・・・。 後悔とか、絶対無いし。 リンがいてくれるなら、結婚も、子供も望まない。 リンと、一緒に生きていきたい。」 真っ直ぐ、向けられた眼。 「・・・俺も、ミナトと一緒に生きていきたい。」 
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