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俺とミナトはそこに立ったまま。
「・・・ミナト?」
「・・・俺さ、、、今日のリンのスピーチ聞いてさ。凄い悔しかった。
・・・分かってたんだけどさ、そんなん初めから。」
「・・・様子が変だったのってそれで?」
「俺、知ってたからさ。リンがどれだけシノを大切に思ってるか。
あの先生だって、リンのこと、よく知ってるみたいで。
あーあ。ホントはこんな事言うつもりなかったのに・・・。」
くそっ、と下を向くミナトは何だか子供みたいで。
可愛いっていったら怒られそうだけど、つい笑ってしまう。
だって・・・、
「・・・ソレッテ、ヤキモチデスか?」
そう聞くと、
「・・・悪いかよ。
リンこそ、何か思うことあるんじゃないの?」
あっさり肯定されて、なんか恥ずかしくなってきた。
しかも、俺もいろいろ考えてたのもバレてるみたいだし。
今だったら俺の思ってることもちゃんと伝えられるかもしれない。
「・・・俺もさ、葛藤、みたいなのはあるよ。
ミナトの事好きだし、一緒にいれるのはうれしい。
けど、ミナトはモテるじゃん。俺は男だし、周りに付き合ってます、なんて言えないじゃん?
今日みたいに結婚式もできない。子供も産めないし。」
ミナトは黙って聞いてくれた。
「恋とか愛とか、情熱的に相手を想えるのは良いことなんだろうけど、お互い歳をとってくし、5年後、10年後も今と変わらない気持ちでいられるかわかんないからさ。
だから、今の自分の気持ちを優先していいのか分からなくなる時があるよ。」
俺はミナトに後悔して欲しくない。
ミナトが後悔したら俺もそれを後悔すると思うから。
黙って聞いていたミナトは、長い溜息をついた。
「・・・やっぱさ、リンって基本ネガティブ思考だよなぁ。まぁそれがリンらしいんだけどさ。
・・・俺は、5年後だろうが10年後だろうが今と変わらずリンのことは大切だと思ってるよ。絶対。
それに・・・・・・。
後悔とか、絶対無いし。
リンがいてくれるなら、結婚も、子供も望まない。
リンと、一緒に生きていきたい。」
真っ直ぐ、向けられた眼。
「・・・俺も、ミナトと一緒に生きていきたい。」
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