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お互い見つめ合って、プッと吹き出した。
気持ちは通じ合った筈なのに、お互い不安になってたんだ。
無理も無いと思う。
長い間、俺はシノを思ってて、ミナトを好きだと自覚したのは最近で。
俺はきっと、言葉が足らなかった。
いつでも、どんなときでもミナトに助けられてたけど、俺だって自分から伝えなきゃいけなかったんだ。
一緒に居たいって。
ミナトと一緒に居たいって。
「・・・なんか、俺さぁ…柄にもなくネガティブになってたわ。好きって気持ちに大きさとかない筈なんだけどさ。
・・・俺の方がきっと好きな気持ちが大きくて、リンが困ったりしないか、とかさ。」
言ってる意味分かる?
ってミナトが髪をわしゃわしゃしながら聞いてくる。
「・・・わかる、と思う。
・・・その、俺、そういう風に言葉にするのは苦手っていうかタイミングもよく分かんないんだけど、、、
でも、ちゃんとミナトのこと好きだから。
その、自覚したのも最近だし、どのくらいとか言葉で表現できないけど、、、。」
ちゃんと、ミナトの眼をまっすぐ見て伝えたら、ミナトはタコみたいに真っ赤になっていく。
「・・・うん、うん。嬉しいんだけど・・・なんか恥ずかしいな、これ。」
今までいろんな子と付き合ってきたミナトだから、俺のこんな稚拙な言葉で照れたりしてくれることは嬉しかった。
「・・・ミナト、顔、あかい。」
そっと右手でミナトの顔に触れると、頬は熱くて。
ミナトが左手で俺の右手を上から包んだ。
「リン、・・・キス、したい。」
行き交う人は途切れ途切れになり、
周りに人の気配がなくなって、月明かりに照らされた路上て、俺からミナトにキスをした。
まさか俺からするなんて思ってなかったみたいで、ミナトはずっと眼をぱっちり開けてた。
普段スマートなミナトだから余計に可笑しくて。
「・・・次は眼、閉じろよな。・・・行こう?」
歩き出した俺に、今度はミナトが追いついて横に並んだ。
「・・・リンからしてくれるなんて思わなかったわ。ヤバい。」
「・・・分かったからもう言うなよ。恥ずかしかったから、一応。」
「・・・・・・・・・。」
お互い照れてしまって少し無言になって。
いつも別れる道についてしまう。
「・・・リン、泊まってく?」
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