第十四章 相愛

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「おはよう、リン」 陽が昇り始めた頃、ベットの中でミナトが俺を起こしてくれた。 ホントなら傍にいたいけれど、仕事を何日も休む訳にはいかない。 「・・・おはよ。ミナト」 「今日、仕事だよな。一旦帰る、よな。」 「あぁ、そうする。」 名残惜しいけど身支度を整えて、一旦自分のアパートに帰った。 玄関に入って、鞄からミナトへのプレゼントを置く。 あんなに悩んでいたはずなのに、自分の心を開くと意外に簡単に解決してしまった。 「母さん、俺。・・・・・・一緒に生きていきたい人に出会えたよ。 ホントなら、結ばれるべき人じゃないかもしれない。 ・・・でもミナトが、俺の手を取ってくれるから、俺も離さないって決めたんだ。 もし、母さんが生きていたらなんて言うかな。」 当然、返事はないけど、きっと母さんならこう言うだろう。 《結ばれるべき人なんて居ないわよ。誰でも幸せになる権利はあるんだから。 自分が笑える場所があるのって素敵な事よ。》 きっと母さんならそう言う。 報告を終えて、身支度をした。 簡単に準備を済ませて、仕事場に向かう。 「おはようございます。長い間お休みを」 「香坂ぁ!もー心配したし。・・・あれ、ちょっとやせた?」 「森、朝からうるさいわ。・・・香坂、体調、大丈夫か?無理すんなよ。」  「あ、はい。すいませんでした。」 二人ともいつもどうりで。 それが当たり前な筈なんだけど、なんだか胸の辺りがあったかくなる。 昼にはサキちゃんが来てくれて、ミナトとの事も報告した。 サキちゃんも上手くいっているらしく、幸せそうだった。 「・・・リンちゃん、よかったね。本当に。」 「・・・え、何急に。」 「私にさ、言えないことや悩みだってあるって思うし、無理に聞くべきじゃ無いって分かってたから。 今日のリンちゃんはなんてゆーかな、、、なんか潔いオーラみたいなのを感じるから。」 「・・・・・・そう?」 やっぱりサキちゃんは人をよく見てる。 俺が悩んでたりしても、見守ってくれていたんだ。 「俺ね、人と関わるのは苦手だって思ってた。 でも、たぶん下手なだけで俺の周りにはいい人がたくさんいるって実感してるとこ。 ・・・ミナトとも、出来るだけ一緒に居たいって思う。 だから、傍にいることにしたんだ。」
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