第十四章 相愛

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「・・・うん。」 サキちゃんは茶化すこともせず、いつも賑やかなのに今日は静かに聞いてくれていた。 「・・・サキちゃんに報告できて良かったよ。」 嘘偽りなくそう思って、自然に笑えた。 「私こそ。話してくれてありがと。 何かあったら相談してよね? 私は、リンちゃんに遠慮なんかしないから。 だから結婚式にも呼ぶし、ご飯も変わらず誘うからね。 リンちゃんの親友のポジションは誰にも譲らないもん。」 そう言い残して去って行った。 仕事が終わって外に出ると、陽がまだ明るかった。 大分陽が長くなった。 もうすぐ夏がくる。 まずはミナトの誕生日を祝ってどこかに旅行しよう。 行き先は二人で決めなきゃな。 そんでお盆には母さんの墓参りに。 今年はミナトも誘ってみよう。 シノやサクにも連絡してみんなで集まりたい。 ちゃんと報告とお礼を伝えなきゃ。 あの頃、 母が死んで、自分は一人ぼっちだと思ってた。 性癖を自覚して、味方は誰も居ないと感じた。 だけど、俺がちゃんと見てなかっただけで、味方になってくれて支えてくれる人は沢山居て。 もしかしたら、まだ出会ってない誰かも、そういう人がいるかもしれない。 少しモノを見る眼を変えるだけで、毎日がこんなにもわくわくする。 ミナトと一緒なら、きっと大丈夫。 だから繋いだ手を離さないように、 それを証明していく。 いつか二人であんな事もあったねって、笑えるように・・・。 End
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