第一章

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 いつからだろう。心地いい関係に罪悪感が生まれたのは・・・。 ボーっと仕事帰りに家までの道を歩いていると、後ろから明るい声がした。 「リンちゃんお疲れ!今帰り?私も今日は残業でおそくなっちゃった。どっかご飯一緒しない?」 彼女の飾り気もないストレートな物言いが、沈んでいる気分のときは何故かいつも救われる。 「サキちゃん・・・うん。別にいいけど。店は任せるよ。」 サキちゃんこと矢掛 沙妃(やかげ さき)とは大学からの付き合いで実は元カノ。 だけど自分の内面の一番の理解者だ。 だからこそ別れた後もこうして友人として付き合っている。 「任せて~。何にしようかな~。ラーメンにしようかな~。」 そう言いながら歩き出したので俺は黙って後ろを付いていくことにした。
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