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ミナトとは今までと変わらずご飯にいったり、サクともシノの式の打ち合わせしたりして。
サクにミナトと付き合ってることを告げると、ビックリするよりも、遅えんだよ、と怒られた。
それが、なんだかあまりに普通の反応で嬉しかった。
ただ、ミナトとは最初の一回だけで、身体の関係はない。
そして、シノの結婚式を前日に迎えた日。
「いよいよ、明日だな。」
「うん。ミナトのおかげで凄くイイのが出来たな。」
「はは、まぁホントならお笑い系とかでいってもいいかなーって思ってたけど。ホテルでするし、あんま騒がしくない方がいいだろ。
リンこそ、友人代表スピーチ、頑張れよ。」
「・・・うん。」
そう、頼まれいたスピーチの内容に四苦八苦して、本まで買って、書き上げた。
これでいいのかはよく分からないけど。
「まぁ、あんま形式に拘らずリンらしく言いたいことをいったらいいんじゃない?」
「・・・うん。がんばるよ。」
・・・ミナトは、こんな風に普通の会話はいつもどうり。
ただ、距離が近かったりすると、少し警戒されてるように時々思う。
「じゃ、そろそろ帰るわ。また、明日な。」
俺の頭をポンポンと撫でて、その手が頬に降りてくる。
チュッ、と可愛い音を立てて、唇と唇が合わさってすぐ離れていく。
「・・・あぁ。」
俺も、こういうのに慣れてないからどんな顔していいかわからないけれど、小さな声で、また明日。とだけ返した。
顔を上げた頃にはミナトの姿は無くて。
「・・・はぁー、。俺、欲張りすぎ。」
座り込んで、なんだか会う度に色んな事を期待してる自分が恥ずかしくなる。
「・・・母さん、俺、欲張りすぎかな。」
ネガティブになりそうになるけど、周りの人の有り難さを知ったから。
ミナトのこともちゃんと信じるって決めたから。
「不安にばっか思ってちゃ、ダメだよな。」
母の遺影は、なんだかいつもより少し笑っているように見えた。
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