435人が本棚に入れています
本棚に追加
いよいよ、シノの式当日。
ホテルとなった会場には綺麗に着飾った、それぞれの親族や友人で賑わっていた。
「なんか緊張するなぁ~。自分の式よりも緊張するかも。」
「サク、それはないだろ!ぜってー、自分の式のが緊張するから。忘れてるだけだろ。」
「まぁまぁ。あ、もうすぐ始まるみたい。」
ホテルの中にある、小さな教会に案内された俺達はその神聖さに、言葉を失う。
「・・・・・・・・・。」
わぁ、綺麗、とか素敵とか女性から声が上がるのは無理も無い。
静かで、正面の十字架の後ろからは陽が降り注いで、光のシャワーみたいだ。
ここで、二人はみんなに祝福されながら永遠の愛を誓い合う。
男同士では絶対に出来ないこと。
嬉しいのと同時に、少し胸が痛んだ。
一人で神父様の前に現れたシノは、やっぱり格好良かった。
新婦さんも凄く綺麗な人で、二人が並んだ時、
あぁ、お似合いだなって思った。
心の底から祝福できた。
「・・・綺麗だな。すごく。」
あの場所で愛を誓い合う二人が、とても綺麗だと思って。
「うん。そうだな。」
ミナトがそう言って、俺の右手を、ギュッて握ってくれた。
前の自分だったら、そんなこと思えなかったと思う。
きっと、胸が痛くて、辛くて。
祝福よりも自分の事でいっぱいになってた。
今こうやって、しっかり立って居られるのは、ミナトのお陰だ。
「・・・ありがとう。」
俺がそう言うと、ミナトはえっ?って顔をしてたけど。
賛美歌を歌ったり、拍手をしたりして二人を見送った。
「はぁー、めっちゃ良かったなぁ。」
サクは興奮が収まらない様子で。自分もココですれば良かったと嘆いてた。
「いや、サクの結婚式も良かったよ。」
「そうだよ。人それぞれだっつーの。」
三人でわいわいしながら披露宴会場に入った。
広々としているけど、照明は暗めで、ムードのある
空間に、少し呑まれる。
「・・・うわぁ、やっぱお笑い系じゃなくて良かったな。余興。」
・・・・・・確かに。
場にそぐわなさすぎる。
「だろ!?事前に調べててよかったよ、ホント。」
最初のコメントを投稿しよう!