第十章 解放

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いよいよ、シノの式当日。 ホテルとなった会場には綺麗に着飾った、それぞれの親族や友人で賑わっていた。 「なんか緊張するなぁ~。自分の式よりも緊張するかも。」 「サク、それはないだろ!ぜってー、自分の式のが緊張するから。忘れてるだけだろ。」 「まぁまぁ。あ、もうすぐ始まるみたい。」 ホテルの中にある、小さな教会に案内された俺達はその神聖さに、言葉を失う。 「・・・・・・・・・。」 わぁ、綺麗、とか素敵とか女性から声が上がるのは無理も無い。 静かで、正面の十字架の後ろからは陽が降り注いで、光のシャワーみたいだ。 ここで、二人はみんなに祝福されながら永遠の愛を誓い合う。 男同士では絶対に出来ないこと。 嬉しいのと同時に、少し胸が痛んだ。 一人で神父様の前に現れたシノは、やっぱり格好良かった。 新婦さんも凄く綺麗な人で、二人が並んだ時、 あぁ、お似合いだなって思った。 心の底から祝福できた。 「・・・綺麗だな。すごく。」 あの場所で愛を誓い合う二人が、とても綺麗だと思って。 「うん。そうだな。」 ミナトがそう言って、俺の右手を、ギュッて握ってくれた。 前の自分だったら、そんなこと思えなかったと思う。 きっと、胸が痛くて、辛くて。 祝福よりも自分の事でいっぱいになってた。 今こうやって、しっかり立って居られるのは、ミナトのお陰だ。 「・・・ありがとう。」 俺がそう言うと、ミナトはえっ?って顔をしてたけど。 賛美歌を歌ったり、拍手をしたりして二人を見送った。 「はぁー、めっちゃ良かったなぁ。」 サクは興奮が収まらない様子で。自分もココですれば良かったと嘆いてた。 「いや、サクの結婚式も良かったよ。」 「そうだよ。人それぞれだっつーの。」 三人でわいわいしながら披露宴会場に入った。 広々としているけど、照明は暗めで、ムードのある 空間に、少し呑まれる。 「・・・うわぁ、やっぱお笑い系じゃなくて良かったな。余興。」 ・・・・・・確かに。 場にそぐわなさすぎる。 「だろ!?事前に調べててよかったよ、ホント。」
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