ボタンの行方

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「さっさと休んでさ 元気になったら飯食いに行こう。 俺まだおごってもらってないし」 「そういえばそうだったね。 あの時は本当にありがとう」 マダムからの要望で 志藤くんに出版社まで おつかいを頼んだ時のことだ。 忙しさが続いていて すっかりおごる約束を 忘れてしまっていた。 もう温人さんは 帰国しているので お酒も解禁していいだろう。 そう思うとなんだか 無性に飲みたくなってきた。 「今日、夜空いてたら行く?」 「いや、いいから。 まずはちゃんと 早く帰って休めって」 海老天にかじりつこうとしていた 志藤くんが苦笑する。
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