ボタンの行方

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◆ 『大変申し訳ありません。 次はマダムのお好みに 合ったものをご用意いたします』 何度目かのマダムのクレーム。 その謝罪に 私は直接キングスイートを ひとりで訪れていた。 チーフが同席を 申し出てくれたけれど 丁重にお断りした。 チーフがいたところで マダムの矛先は 私から外れることはないし 話の内容が温人さんに 筒抜けになるのも嫌で。 つまりただの、 私の意地である。 『もういいわ。 なんだか私が あなたをいじめてるみたい』 違ったのか。 という言葉が思わず 口からこぼれそうになる。 元々そういう性質の 人であったといても 私に負の感情を まったく持たずに接したと この人は言い切れるのだろうか。
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