ハロウィンの貴婦人③

ボタンの行方

『いいえ、マダム。
私はごく一般の家庭の出です』

『じゃあ、特別勉学に優れているとか？』

『日本では平均より
多少上といった程度の大学に通っていました。

途中アメリカに留学し
そこでホテルの仕事についたのです』

『そう。ハルトのパートナーなら
学んだのは経営学？　経済学？』

『ちがいます。
コミュニケーション学です』

段々とマダムが
苛立っていくのを感じる。

ピリピリと
空気が震え、冷えていくよう。

『だったらあなたの
どこに魅力があるというの？

やっぱり顔？　からだ？
私には理解できないけれど』

私の全身を
上から下まで目線だけ動かし

”理解できない”と評価するマダム。