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『ナナオ。
あなたは何の為に
ハルトと結婚したの?』
何の為に。
その問いの違和感に
私はますます口をつぐんだ。
温人さんからの
プロポーズを受けて
私は彼と結婚した。
覚悟は必要だったけれど
断る理由はなかった。
愛しているから。
けれど、
何の為にと聞かれると
結婚の必要性はなかった。
温人さんはどうだろう。
ヴィジュテラの未来を担う
重要な立場として
妻というパートナーは
必要だったかもしれない。
けれどそれが
私である必要はあっただろうか?
「何の為に……」
『あなたはハルトに
何をしてあげられるの?』
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