ボタンの行方

18/40

292人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
『ナナオ。 あなたは何の為に ハルトと結婚したの?』 何の為に。 その問いの違和感に 私はますます口をつぐんだ。 温人さんからの プロポーズを受けて 私は彼と結婚した。 覚悟は必要だったけれど 断る理由はなかった。 愛しているから。 けれど、 何の為にと聞かれると 結婚の必要性はなかった。 温人さんはどうだろう。 ヴィジュテラの未来を担う 重要な立場として 妻というパートナーは 必要だったかもしれない。 けれどそれが 私である必要はあっただろうか? 「何の為に……」 『あなたはハルトに 何をしてあげられるの?』
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

292人が本棚に入れています
本棚に追加