ボタンの行方

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「どうしたの、奈々緒。 顔色が悪い。 ……エヴァに何か言われた?」 駆け寄ってきた 温人さんが 私の両肩をつかみ 支えてくれる。 嗅ぎ慣れた温人さんの匂いに ほっとしながら 自分の体にまとわりつく 薔薇の香りを 彼に嗅がれたくないと思った。 「特別なことは、何も。 ただ私の仕事が 甘かっただけで……」 「奈々緒」 「小泉、です。GM」 温かい手をさりげなく 肩から外しながら言えば 困ったような顔をされた。 「わかったよ、小泉くん。 君はもう帰りなさい。 チーフには私から話しておく」
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