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「とても心配されていたよ。
私もすぐに君に休みをやれなくて
申し訳なかった。
……ゆっくり休みなさい」
上司というよりも
まるで父親のように
聞き分けのない
娘に言い聞かせるような
チーフの言葉に
私は黙って頭を下げて
その場を後にした。
それからどうやって帰ったのか、
気付いたらマンションで
シャワーを浴びていた。
自分の髪からしたたるお湯の
流れをじっと見つめながら
叫び出したくなる衝動を抑えて。
食欲もなく、
倒れるようにベッドに沈む。
いつもは温人さんの寝室の
大きなベッドの上で眠るけれど。
今日は迷うことなく
あまり使わない
自分の部屋のシングルベッドを選んだ。
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