ボタンの行方

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ちっとも眠気は訪れず ただじっとベッドでひとり 暗闇を見つめていると 玄関の方から物音がして やがて部屋のドアがノックされた。 「……奈々緒。入るよ」 遠慮がちな声のあと ドアが開かれ 廊下の明かりが差し込むと同時に 私はきつく目をつむった。 ギシリとベッドが揺れて 背中側が少し沈む。 すぐそばに 温人さんが腰かけたのがわかった。 「奈々緒? 眠ってるのか……」 安心したように呟いて 温人さんは 私の頭をひとなですると 入ってきた時と同じように 静かに部屋を出ていった。
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