ボタンの行方

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私が声のトーンを落とすと 志藤くんは気まずげな顔をした。 「まあ、身内が入ってるから そう噂したくなるのもわかるけどな。 でもお客様のことでもあるし 今度聞いたら注意しとくよ」 「そうだね」 「それより小泉。 休みはちゃんととれよ。 お前が休みなら さすがにマダムだって わざわざ出てこいとは言わないだろ」 「うーん。それはそうだろうけど」 「そうなんだよ。 だからちゃんと休め。 お前いま、けっこうひどい顔してるぞ」 顔をしかめながら言って 志藤くんが蕎麦をすする。 私はサンドイッチも スマホもテーブルに置いて 小さくはないため息をついた。
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