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おお、静かになった。どうやら落ち着いてくれたようだね。
ん? どうして寝ているのかね。
血を吐いているのか?
ストレスだろうか。生真面目が過ぎるのかもしれないな。
しかし、絨毯を敷いていない部屋で良かった。もし絨毯を敷いていたら、取り換えなくちゃいけないところだ。それにしても、寝転んでまで椅子に腰かけているとは……。生真面目にも少々呆れるね。
「起こしてやれ、ホッジス」
起こされたリックはどことなくぐったりとしていた。
「ころ……いで……し……く……ない……」
何を言っているかよく分からない。
やはり具合が悪いのだろうか。そんな時に頑張ったところで、ロクな結果は出せまい。
「君はアレだ、少し静養が必要だね。しばらく休みたまえ」
リックは必死で首を左右に振っている。
そんなに熱意をもって仕事に挑んで貰える事はとても嬉しい。
仕事にプライドを持つことは大切だ。
だが、それに拘泥しすぎて自らをおろそかにしてはならない。
そういう時、休ませてやるのも上に立つ者の仕事という事だ。
「安心してくれ。カラカスファミリーの事はこちらで対処する」
「う……いや……」
首を振る彼の肩を一つポンと叩いてやった。ゆっくり休んでくれ。
「彼を丁重に送って差し上げろ。良いな、丁重にだぞ?」
ホッジスは一つ頷いた。
彼は私の指示を的確にこなす優秀な部下だ。
後は彼に任せるとしよう。
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