忙殺

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生まれた時からともに過ごしてきた幼なじみの金太郎。俺より六つ年上のチャラ男。しかし派手な見た目とは裏腹に職業は中学教師だ。 コイツに好きだ好きだと追いかけられ続けてもう八年が経つ。ついに先月アパートを広めの部屋に借り替え、同居するようになった。 「連ちゃん、お昼のお弁当は食べる時間あった?量は足りてる?たくさん食べて体力つけとかないと、ますます体重軽くなっちゃうよ。ほらほらお肉だよ」 甲斐甲斐しく俺の世話を焼きながら捲し立てる金太に縦に首を振ったり横に首を振ったりして答える。あぁ、しょうが焼き美味い。温かいご飯バンザイ。一日頑張ってきた俺、お疲れ。 幸せを噛みしめつつ、正面に座った金太を見上げる。ヤバイ、なんか俺傾いてる。 「連ちゃん半眠りで食べてる、超かわいい……」 「俺いつか仕事中に寝そうでヤバイ……」 「それ過労で倒れるって現象だよ。てか、連ちゃんがハサミ持ったまま寝たらケガ人が出るからね!?お願いだから無理しないでね?」 「だな……」 頷きながら思う。 この忙しさはどうにかならないのか、と。
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