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地元の商店街は寂れているとはいえ、毎年盛大な夏祭りが催される。
神輿が出て、屋台が出て、駅前広場の特設ステージには地元のダンスチームやバンドが何組か出演できる。金太のバンドに引っ張り込まれて参加するようになって何年も経つ。すでに俺の中でも夏の恒例行事になっているわけで、忙しさを理由に参加しないというのも寂しく感じてしまう。
「曲決まったらすぐ教えて。練習しとく」
「うん、来週集まるから話してくるね」
「バンドのみんなは元気?」
「元気元気、それだけが取り柄だから。連ちゃんも今度時間作って練習行こうね」
うん、と小さく頷いて鼻先を金太の体にすり寄せる。一緒に住むような状態になって、くっついて眠るのももはや何の違和感もなくなってきた。
でもそれまでだ。コイツは腫れ物に触るように俺に触れてくる。壊れ物を扱うように抱き締められて、そっと髪を撫でられて、今日も二人眠りに落ちる。
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