鳩さん

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「鳩さんさ、なんで古本屋さんになったの?」 うどんをすすりながら気になっていた事をポソポソと聞いてみる。 「いや、特になんでってのはないよ。家を継いだだけ」 「あ、そうなんだ。じゃあ俺と同じだ。俺も地元に戻ったらたぶん継ぐことになるから」 「まぁ、自営業なんてだいたいそんなもんだろ。あぁ、でも……、本が好きじゃなかったら継いでなかっただろうな」 「へぇ」 家業が好きで、受け入れて、そのまま継いでしまうあたり、やっぱり鳩さんは桃太に似ている。 「あ、ねぇ、鳩さん」 「うん?」 あらまし食べ終わった鳩さんはお茶のおかわりが熱すぎて苦戦している。 「鳩さんの一番好きな本教えてよ」
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