一番

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「鳩さ――」 「俺の一番好きなやつ」 「……え?」 「俺の、一番好きなやつは、連太郎だよ」 「……えぇと、……あれ?」 おかしい。なんでこんな流れになったんだろう。確か本の話をしていたはずだ。でも鳩さんの手の震えは本物で冗談を言ってる風には思えない。 「連太郎が一番好き」 こんな普通じゃない状況なのに、繰り返される言葉に耳が熱くなる。 「嘘だ、だってなんで、……急にこんな」 「急にじゃない」 鳩さんの両腕に再び力が入る。 「連太郎は気づいてないだろうけど俺は、お前が二年前に熊野美容室に初めて来た時から見てたよ」
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