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近所を調査すると、田舎だけあってすぐに式の後パーティーをする小さなレストランを突き止めた。
ここにも警備員が配置されている。
同じように考える記者も当然居て、レストランの周りは物々しい雰囲気だ。
秋篠葵は藤野零を通して、クラムと面識がある。
ここに来ている写真を撮ったところで、メンバーと交友関係がある証拠にはなるが、秋との交際を裏付けるものではないし、交友があっても不思議じゃない。
とにかく、二人一緒に写真を撮りたい。
俺はレストランにテラスがあることを知り、そこに目をつけた。
しかし、そのレストランは海に面して造られていて、テラスは海に面していた。
周りは断崖絶壁。
「断崖絶壁ねぇ…」
レストランの敷地から延長するように緩やかに延びた先の岸壁。
「あそこだな」
俺はレストランのテラスをしっかりレンズで捉えれる場所を見つけた。
若干の危険はあるけれど、出身は漁業の街で海育ちだ。
日が沈む前までなら大丈夫だと自信がある。
少し苦労はしたが、辿り着けた。
テラスとの距離は300メートルはありそうだ。
そのゴツゴツの地面にしがみつくように伏せて、カメラを構える。
レンズ越しにテラスに面した窓から中の様子を伺えるか試したが、カーテンが引かれていて無理そうだ。
とにかく動きを待つことにした。
地面に身体を伏せて、俺は一体何をやっているんだろうか…
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