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「和田、こんなクソ写真で記事になるか!!バカヤロー!」
編集長からの罵声を浴びた後、喫煙ルームで煙草をふかしていた。
4畳ほどの喫煙ルームに俺を含む4人が別々に座っている。
誰も何も話さない。
そこに扉を開けて徳永正義(とくながまさよし)が入ってきた。
「よっこらせ」
と俺の横に座り、煙草を口にした。
「おい、昔は先輩が煙草を口にしたらすかさず火をよこすもんだ」
徳さんはこの道30年のベテラン記者。
俺とコンビを組んでいる。
俺は面倒に思いながらも、使い捨てライターで火をつけた。
「ラブホテルのライターか?」
そう言って鼻で笑う。
小姑みたいなおっさんだ。
ライターを見たらそうだった。
俺自身が把握してないのに、よくまぁ見てるなと呆れる。
二吸いくらいしてから、徳永さんが話し出した。
「編集長、ご立腹か?」
「まぁ…徳さん、逃げたでしょ?」
「サンドバックは一人で十分だろ」
そう言って鼻で笑う。
「スポーツ紙に取られたのが余程頭にきてますよ、あれは…」
俺は煙草を灰皿に捨てる。
「あぁ…小熊大先生のことか?」
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