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―8月になって、関係者の動きがあるのに気がついた。
お盆に入ると極秘でキャロルが来日している情報が流れ、慎と結婚式をするのではないかと周りは予測していた。
まさかの慎のじいさんの神社で挙式説が濃厚になりつつあった。
クラムのスケジュールを徹底的に調べて、8月20~21日の全員オフのこの日が怪しいと見た俺は、一か八かで慎のじいさんの田舎を訪ねた。
静かすぎる田舎の町に絶望さえ感じたが、取材をするとその田舎に似つかわしくない黒塗りの車が何台も停まっているのを目にした。
そして海外の報道関係者らしき人や、顔見知り記者にも数名会った。
数名だかどこから嗅ぎ付けたのか、集まってきていた。
しかし、神社は完全包囲でガードマンが立ち近づけない、何も見えない。
こうなったら出入り口で待つしかない。
とにかく近隣の地理を覚えながら出てくるのを待った。
そこで、興味深い話を耳にする。
「秋と熱愛騒ぎになった、あの一般人の女の子の姿を見た」
「えっ?マジで?」
「確かじゃない。よく似てた」
顔見知りの記者がこそこそと話しているのを、地獄耳の俺の耳に届いた。
秋篠葵がここに来てる?
慎とキャロルが招待したのだろか。
メンバー公認ってことなのか?
これは絶対にこのスクープを誰にも渡したくない気持ちになった。
会社から指示された、キャロルの花嫁姿を早々に諦めて、俺はその場から離れる。
秋篠葵が勤める和菓子屋に、客を偽って電話すると、今日は公休だとわかった。
ここに来てる可能性は高い。
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