SCANDAL 14

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―…… 今までで一番過酷かもしれないと思った。 待てども待てども、カーテンは開かないし、テラスにも人影はない。 夕方になりつつあるが、真夏の日差しを浴びて、いくら海風があると言えども辛い。 持ってたタオルを頭とカメラに掛けて、水分を取りながら待つ。 常に身体は伏せた状態。 日が沈みはじめてる。 完全に暗くなる前に撤退しないと危険を伴う。 どれくらいそこに居ただろうか。 もうダメだと思いかけた時、テラスに人が出てきたのがわかった。 レンズを通して誰か確める。 首もとのネクタイを弛めながら、煙草をくわえて火を着けているその姿は、間違いなく秋だった。 一服しに来たのか、テラスに少し身を任せて一人で海を眺めていた。 暫くすると、秋に動きが見えた。 秋が振り替えって手招きして誰かを呼んでいる。 俺はレンズから目を離して、肉眼で様子を確める。 建物から出てきたのは、紺のドレスを着た女。 期待に胸が高鳴る。 もう一度レンズを通して、その姿を確認する。 秋と並んでテラスに立つ姿。 俺は夢中でシャッターを切り始めた。 それは間違いなく秋篠葵だった。 秋と秋篠葵のツーショット。 沈む夕日が眩しくて、二人を捉えるのが難しくはあったが、俺は夢中でシャッターを切り続けた。
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