1091人が本棚に入れています
本棚に追加
「温人って、結構モテるやろ」
「え、そんなことないですよ、全然」
「ウソやな。温人はたぶん、天然の人たらしや」
「なんですか、天然の人たらしって」
「気付かへんうちに、みんな温人を好きになっとると思う」
「そんなこと、初めて言われました」
「別れたいう彼女も、実はまだ温人のこと好きやったりして」
何気なく言うと、勇士郎の背を撫でていた温人の手が止まった。
「なんでそんなこと言うんですか」
「ごめん、…気ぃ障った?」
「別に、そんなことないですけど。……彼女とはもう、ほんとに終わってるので」
「うん、ごめん」
まるで嫉妬する女みたいな自分の発言に、今更恥ずかしくなってくる。
すっかり黙ってしまった勇士郎をあやすみたいに、温人はまた勇士郎の背中を何度か優しく撫でたあと、静かにおやすみなさい、と言った。
最初のコメントを投稿しよう!