【2】抱えたもの

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 そのまま二人でキッチンまで行き、元栓の前に並んで立つ。 「ほな、就寝前の点検や。触って確認してみ」  温人は言われた通り、元栓を触り確認する。 「次、指差し確認」  温人は元栓を指して、「元栓、よし」と声に出す。 「うん。ほな今からオレがおんなし確認するから」 「はい」  勇士郎は温人と同じように元栓確認を行った。それから炊飯器や電子レンジなどの電源やコンセントも同様に確認する。 「ええな、今オレらは四つの目できっちり確認した。せやから間違いは絶対にない。そうやろ?」 「はい」 「ほな、歯磨いて寝。今夜はもう、ここは立ち入り禁止や。ええな」 「――ユウさんは優しいですね」 「え、なんや、急に」 「ここに置いてくれる時も、わざと自分が気になるから自分のためだって言ってくれたし、食事当番のことも、俺が食費借りてること負担にならないようにって、考えてくれたり。さっきの話もすごく真剣に聴いてくれて……ほんとに、すごく優しいです」 「か…、買い被りすぎや」  勇士郎が赤くなって、ううぅう…とうなりながら俯くと、ふいに大きな手が勇士郎の一回りちいさな手をそっと掴んだ。  ドキンッと心臓が跳ねてハッと顔をあげると、見たこともないほど優しい目をした温人が、自分を見つめている。
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