【2】抱えたもの

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 厚みのある男らしい手に、ぎゅっと力をこめて握られると、鼓動がにわかに激しくなって、どうしていいのか判らない。 「ユウさん」 「はっ、はい」  温人は一瞬困ったような、苦しそうな目をしたあと、そっと手を離した。 「ありがとうございます。おやすみなさい」 「あ…、うん、ぉや、おやすみ」  温人はすぐに「栗原屯所」へ入って行き、間もなく電気が消された。  けれど勇士郎はしばらくその場から動くことが出来なかった。  ドキン、ドキン、と胸が鳴り続けている。  唐突に離された手が何故か寂しくて、思わず反対側の手で包み、ざわめく胸の上をそっと押さえた。
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