【5】切ない予感

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 オムレツの他に焼きたてのパンとコンソメスープ、グリーンサラダを用意して、二人は食卓についた。  一緒に手を合わせて、いただきますを言う。 「うん、旨い! めっちゃ旨いでコレ!」  オムレツは割ると中身がトロリと零れだす絶妙な焼き加減だった。 「ほんとだ、大成功ですね。すごく美味しいです」  温人も頷いて、勇士郎に微笑む。  熱い黄金色のスープも、瑞々しいサラダも、どれも本当に美味しくて、それはきっと温人が勇士郎のために作り、こうして一緒に食べてくれているからだろうと勇士郎は思った。  部屋には静かに音楽が流れている。勇士郎の部屋でかけている映画音楽が聞こえてくるのだ。  いつも勇士郎が聴いている自選のCDで、往年の名画のテーマ曲を集めたものだ。ドアを開け放して、今夜はゆったりとした気分に浸る。 「綺麗な曲ばっかりですね。聴いたことあるやつが多いです」 「せやろ。ロミオとジュリエット、カサブランカ、ひまわり、エデンの東、道、シェルブールの雨傘、追憶、雨に唄えば、ゴースト、ニュー・シネマ・パラダイス、THE ROSE…。名画と呼ばれるもんには、良いテーマ曲がついとるもんや。そういう曲には愛を歌ったもんが多い。……せやから惹かれるんかな……」 (オレには縁がないから)  勇士郎が寂しげにちいさく笑うと、温人は目を見開き、それから何か言いかけたが、勇士郎はそれをさりげなく遮った。
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