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「せや、この髪な、すごい似合てるて褒めてもろたで」
「ほんとですか。良かったです」
「ええ結婚式やった。ほんまに」
「良かったですね」
「温人のおかげや、ほんま…」
そう言ったとたん、ふいに熱いものがこみあげ、勇士郎はナイフを持ったまま、手の甲で零れ落ちた涙を拭った。
「……ユウさん」
温人が痛ましげに声をかける。
「違う、……ごめん、なんかホッとしたんや。オレの青春、ちゃんと終わらせられたんやなって、思って」
勇士郎はもう一度グイと涙を拭うと、温人に微笑みかけ、涙を呑み込むように、熱いスープを口に運んだ。
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