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翌朝は少しばかり酒が残っていたものの、シャワーを浴びて、温人が用意してくれたトーストとサラダの朝食を食べ終わる頃には頭もスッキリとしていた。気分も悪くない。
なんとなく良い日になりそうだと思っていた矢先、温人からとんでもないことを訊かれた。
「ユウさんて、辻野さんのことが好きだったんですか」
「――え?」
麦茶を飲む手を止めて、呆然と温人を見つめる。
「だって昨夜、言ってましたよね、男の人が好きなんだって。青春を終わらせられたっていうのも、そういう意味なんじゃ」
「誰が?」
「ユウさんが」
「え?」
「え、」
「ええっ?」
「ええっ!?」
「う……は、ははっ、……ぅ、」
「う?」
「……ウソやんな?」
「いえ? 嘘じゃないですよ。『オレ、男しかアカンねん』て言ってました」
勇士郎は穴が開くほど温人を見つめ、次の瞬間、電光石火の速さで自室へと逃げ込んだ。
ベッドに頭から潜り込んで、ギュウウッと小さく縮こまる。
(アホや…! アホやアホやアホやあぁ―――!!)
あまりの衝撃と情けなさに涙が出て来る。
「ユウさん……」
ドア越しに心配そうな温人の声が聞こえる。
「く、来んな!!」
布団の中から大声で叫ぶ。それでも温人は部屋に入ってきた。
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