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「そうですか。ユウさんのほうがずっと凄いと思いますけど」
真顔で言う温人に、勇士郎はふふっと思わず笑ってしまう。その笑顔を見て、温人がパッと顔を輝かせたのを見て、また胸が熱くなった。
「よし、ほな、凄い勇士郎さんが特別にパンケーキ作ったる」
「ほんとですか」
「起こして」
わがままな王子風を装って両手を伸ばす。
本当に触って貰えるのかと緊張したが、温人はためらいもなくその手を取って、ゆっくりとベッドから降ろしてくれた。
そんなことにすら、勇士郎は泣きそうなほどの安堵を得る。
「生クリームとフルーツ、乗っけるのどっちがええ?」
「どっちでもいいです」
「またそれや、オレはそういうのは好きやない。どっちか決め」
「あ、……じゃあ、フルーツで」
「よっしゃ、まかしとき、スペッシャルなの作ったるでな!」
目の奥にこみ上げる熱いものを堰き止めながら、勇士郎は久しぶりに心からの笑顔を見せた。
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