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執筆が乗りやすい時間帯というものは人ぞれぞれだと思うが、勇士郎は朝が弱く、午後から夜に向けて、どんどんエンジンがかかっていくタイプだ。
それでも忙しい時期は、朝も夜もなくなるので、睡眠がかなり不規則になる。そのためおかしな時間に眠ることも多かった。
うたた寝は風邪を引きやすいので、仮眠を取る時は夏でも必ずブランケットを被るようにしている。体調を崩して原稿に支障が出るようなことは絶対に避けたいからだ。
しかしこの頃は、ふとした瞬間に意識を失うように眠ってしまうこともあり、いつになく疲れているのだと知る。
「ユウさん、こんなトコで寝てたら風邪ひきますよ、ユウさん」
優しく肩を揺り動かされて、ピクリと目を醒ました。
「ん……?」
目を擦りながらぼんやりと顔をあげる。どうやらまたリビングのソファでうたた寝をしてしまったようだ。ちょっと目を休めるつもりで目を閉じたら、そのまましっかりと眠ってしまったらしい。
「温人ぉ? おかえり」
「すみません、ちょっと遅くなってしまいました」
「ええよ、……――えっ?」
見上げた先にとんでもない男前がいて勇士郎の目がいっぺんに醒める。
「な、なに、どしたん、その髪」
「バイトの帰りに切ってきたんです。変ですか?」
「い、いやいや、全然、全然変とちゃうよ、めっちゃええやん」
褒められて温人は嬉しそうに笑った。
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