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扉が閉まり、少しすると目が慣れて来たのか周りがよく見えるようになった。
そこは外の部屋とはまるで別世界だった。
床も壁も天井すら赤黒く汚れ、鼻につく不快なニオイがした。
奥には作業台があり、上には肉の塊と血のついた包丁が置いてある。
天井からは肉の塊がいくつも吊り下げられ、その血が床に滴っていた。
よく見れば、皮の剥いだ豚や鶏や犬、猫の塊だった。
それに1メートルほどの布で包まれた、人のようなものも1つ吊られていた。
部屋の隅には口の開いた小さな布袋から、細かな赤い肉片が見えた。
私は吐き気に襲われ、部屋から出ようとした。
しかし、奥の部屋からまた叫び声が聞こえた。
そこには格子付きの扉があり、声はそこから聞こえるようだった。
格子から中を覗くと、豆電球だけの薄暗く狭い部屋に、椅子に腰かけている人影と、
両サイドには何やら点滴のようなものが見えた。
部屋の中にも、キツネ目のマスターの姿はない。
一体、キツネ目のマスターは何処に行ったんだろう……。
私は不安と恐怖に苛まれながら、格子付きの扉に手をかけた。
キーっと高い音を立てながら、扉がゆっくりと開いた。
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