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しかし、恐る恐るそのミルクティーを飲んでみると、驚く事に私が大好きだったミルクティーの味そのものだった。
「どうしました? お口に合いませんでしたか?」
キツネ目のマスターが私の様子をうかがう。
「いえ……、とても美味しいです。あの……、このミルクティーの作り方って、前のマスターから教わったんですか?」
「前のマスター? このミルクティーは、私のオリジナルなんですよ」
そう言って、キツネ目のマスターは別のテーブルに行ってしまった。
オリジナルと言っても、きっとレシピが残っていたのだろうと思った。
何故なら、今まで他の店で色々ミルクティーを飲んだけれど、同じ味には出会えなかったのだから。
私は久しぶりに、大好きなミルクティーを堪能した。
「なぁ、マスター。今日は天使の肉はないのかね?」
恰幅がよく高級そうなスーツと腕時計を身に着けた中年男性がキツネ目のマスターに声をかけた。
「今日はないんですよ。なかなか手に入らなくて。天使の肉は貴重ですから」
「仕方ないか。私も今度入手出来るように、手をまわしてみよう」
「ありがとうございます。代わりに新鮮なザクロジュースはどうです?」
「ザクロか。じゃ、それをいただくか」
「かしこまりました」
ふと、隣で座っていた高齢の女性がキツネ目のマスターに向かって手をあげた。
「マスターさん。グリーンティー、いただけるかしら?」
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