路地裏の喫茶店

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グリーンティー。 優子ちゃんも、ここに来る度に飲んでいた。 「薬みたいで苦みがあるけど、慣れるとはまるかも。それに、これを飲むと体の調子がいいの」 そう言って、優子ちゃんは笑っていた。 確かにグリーンティを飲んで二日ほどは、テニスも出来るほど優子ちゃんは元気になる。 けれど、私の記憶では三日目の顔色はとても悪く、学校を休んでいた。 そして、またグリーンティーを飲むと元気になって……。 その繰り返しだった気がする。 そんなある日、優子ちゃんは病院に入院した。 私が病院にお見舞いに行くと、優子ちゃんのお母さんから、 「見舞いに来ないで欲しい、と優子に言われている。あの子、湿疹がひどくてね。それを見せたくないんだと思う。ごめんね」 と言われ、誰も病室に入れてはもらえなかった。 結局、優子ちゃんは退院する事なく、私は中学を卒業した。 この喫茶店に来なくなったのも、ちょうどその頃だった。 それが原因? まだ別な理由があった気がするけど、私は思い出せなかった。 時計を見れば、すでに一時間半が経った。 けれど、キツネ目のマスターはまだ戻っては来ず、私も帰れない。 無銭飲食をするわけにはいかない。 先ほど注文した恰幅のいい男性は、苛立ちもせず煙管を吹かしている。 ふと、目が合った。 煙管を少し持ち上げ、「吸うかい?」と私に口でジェスチャーをした。 私が素早く首を二回横に振ると、その男性は笑った。
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