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2階の角部屋が晴の部屋で、玄関を開けてすぐが廊下だった。トイレと浴室の前を通り、横滑りのドアを開けると、そこは狭いキッチン。奥が寝起きする部屋になっており、ベッドの横の壁際に白いケージが置いてある。
「紹介するね」
晴がケージの扉を開けると、中にいた明るい茶色っぽいうさぎがひょこっと顔を出した。
帰宅を歓迎するように、晴の掌に頭をこすりつけている。晴はその小さくて丸い頭を丁寧に撫で、そうっと抱き上げた。
「この子がステラ」
ステラは晴の腕の中から真澄を見上げた。実物は真澄が思っていたより小さく、ふわふわと光るようで愛らしい。
「しばらくの間、よろしくお願いしますね」
真澄が頭を下げて優しく手を伸ばすと、ステラは晴の腕と体の間に顔を隠してしまった。触るのを躊躇うほど、ステラは全身で拒絶している。
「あー、ごめん」
「気にしてませんから。思ってたより耳が短いですね。それに頭も体も丸い。ネザーランドドワーフですか?」
ネザーランドドワーフは数あるうさぎの中で、とても人気の品種だ。
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