〈3羽〉

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『そういうもんだよ。ねえねえ、ステラ可愛いでしょ?』 「ええ、とても愛らしいです。あの目で見つめられると、なにをされても許せてしまいます。今回ばかりは、あなたの気持がよくわかりますよ」 『うんうんうん! だよねー、可愛いよねー! ちょっと悪女みたいなとこあるよね。お姫さまっていうか、傾国の美女ってあんな感じなのかな?』 「たしかに、小悪魔って感じしますね」 『うんうん。けどさ、もしダメそうならペットホテルに預けていいから。ちょっと遠いけど、小動物も診てくれる病院がホテルやってるから、そこに……』 「ダメです。そんな怪しいとこに行かせませんよ。あなただって反対してたじゃないですか」 『そうだけど……。真澄、寝れなかったんだろ? 声でわかるんだからな。それに、昨日だって徹夜明けみたいだったし……』 「いやです。なにがあっても彼女を手放しませんから」 『……うん。わかった。本当は、その方が僕も安心できる。ありがと。お礼するから、なにがいいか考えておいて!』 晴のはにかむような声音に、真澄の口角がむずむずする。誤魔化すように、返す言葉を探した。 「当然でしょう。ああ、でも本当に、彼女のためならなんでもできそうです。――あ、もうすぐ講義始まるんで切りますよ」 『ん。またかけるよ。真澄もなにかあったら遠慮なく連絡ちょうだい?』 「ええ、そうさせていただきます」 晴との至福の通話タイムを終え、真澄はランチをかきこむ。 はやく講義を終えて家に帰って、ステラと見つめ合ってお話ししたい。彼女はいまだ応えてくれないけれど――。 先ほど真澄の視界から追い出されていた鈴井はというと、青い顔で熱心にスマホを弄っていた。 ◆◇◆◇◆ その晩、ステラのトイレを掃除していると、晴と共通の別の友人――高野からこんなメッセージが届いた。 『真澄が小悪魔でものすごくエロい性悪女に捕まったって、鈴井が大学ですごい騒いでたんだけどどういうこと?』 真澄の中で、明日の予定が静かに決まった。 〈続〉
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