71人が本棚に入れています
本棚に追加
「スペシャルミラクル愛らしいでしょう?」
「え、あ、まあ、普通に……?」
「まあ普通? ハー、相変わらず鈴井さんは見る目がないですね。こんなに愛らしい子、他にはいませんよ」
「……俺には無表情のうさぎが草食ってるようにしか見えねーぞ。違いがわからん」
遠い目をする鈴井を、真澄はしらけた目で見る。
「そんなことだから彼女にフラれるんですよ。こっちも見てください。こんなに可愛いらしい顔してるじゃないですか」
「まだフラれてねーよ! ギリギリ付き合ってる!」
「義理で付き合ってもらってる?」
「ちげーよ! つーか、うさぎなんて大体同じ顔してんだろ。どう見ても無表情だぞ、無表情。コイツ、いつもなに考えて生きてんの?」
「あなたこそ、なに考えて生きてるんです? 単位のことは考えてますか? 出席日数は? 提出物は?」
「うぐっ」
真澄は愛おしげにステラの額を撫でた。
実のところ、まだ彼女にはほとんど触れたことがない。初日ほどの警戒心はないが、触れようとするたびに身構えられている気がするからだ。
だが昨晩はほとんど暴れることはなかった。今晩あたりはもう少し大人しくなるかもしれない。
昨日の晩と今朝、ご飯を入れる際にさっと頭を撫でたが、嫌な素振りはされなかった。明日はもう少しだけ、触れてみても良いだろうか。
「うさぎって肉球あんの?」
「基本、ありません。ホーランドロップとレッキスはよくよく見るとそれっぽいのはあるらしいですよ。あとはエゾナキウサギとか」
「頬袋は?」
「あるわけないでしょう」
「ふーん。ていうか、お前いつから飼い始めたんだよ。初耳だぞ」
「ああ、俺の子ではありませんよ。一時的に、晴さんから預かっているんです」
鈴井はぎょっと目を見開いて、「晴!?」と大口を開けた。
最初のコメントを投稿しよう!