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「えーっと、『あなたのことを考えていたら腹が立ってきました。次会ったとき覚えてなさい』だぁ?」
メッセージを読み上げ、鈴井はどっとイスに凭れた。
「なんだよ、この意味わからん突然の宣戦布告! お前、通り魔かよ」
「思ったことをそのまま書きました」
「まー、晴だからな。お前のそーいうとこ慣れて……いや、待てよ」
鈴井はスプーンでビシッと真澄を指した。
「案外、お前のそーいうとこが嫌いで――」
言いかけた鈴井の脛を、テーブルの下で高野が蹴っ飛ばした。イスの上で鈴井が飛び上がる。
「イッテェ!」
思わず手で押さえるほどの痛みに鈴井が呻く。通り魔的犯行に、「なんだよ!」と高野の足を蹴り返した。が、虚しく空ぶる。
高野は「バ、カ」と唇だけで言った。そして目線を真澄に投げる。
「あン……?」
高野に続くように真澄の顔を見て、鈴井が固まった。
真澄はいつもの無表情で、福神漬けをつつき回している。表面上は普段通りだったが、その背にただならぬものを背負っていた。鈴井はぽかんと口を開ける。
「お前、なんでそんなにへこんで……?」
「……別にへこんでませんよ」
「いやいやいや。だってそんな、へこむほどのことじゃ……。ん? お前もしかして、晴のこと――」
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