〈6羽〉

2/7

71人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
「えーっと、『あなたのことを考えていたら腹が立ってきました。次会ったとき覚えてなさい』だぁ?」  メッセージを読み上げ、鈴井はどっとイスに凭れた。 「なんだよ、この意味わからん突然の宣戦布告! お前、通り魔かよ」 「思ったことをそのまま書きました」 「まー、晴だからな。お前のそーいうとこ慣れて……いや、待てよ」  鈴井はスプーンでビシッと真澄を指した。 「案外、お前のそーいうとこが嫌いで――」  言いかけた鈴井の脛を、テーブルの下で高野が蹴っ飛ばした。イスの上で鈴井が飛び上がる。 「イッテェ!」  思わず手で押さえるほどの痛みに鈴井が呻く。通り魔的犯行に、「なんだよ!」と高野の足を蹴り返した。が、虚しく空ぶる。  高野は「バ、カ」と唇だけで言った。そして目線を真澄に投げる。 「あン……?」  高野に続くように真澄の顔を見て、鈴井が固まった。  真澄はいつもの無表情で、福神漬けをつつき回している。表面上は普段通りだったが、その背にただならぬものを背負っていた。鈴井はぽかんと口を開ける。 「お前、なんでそんなにへこんで……?」 「……別にへこんでませんよ」 「いやいやいや。だってそんな、へこむほどのことじゃ……。ん? お前もしかして、晴のこと――」
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加