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ステラはまだ1歳に満たない。
体はほとんど大人でも、まだまだ食べ盛りで精神は未熟なまま。1年半から2年ほどかけて、うさぎは心身ともに大人になる。それまでお転婆だったうさぎが、2歳過ぎた辺りから急に落ち着いた性格になることもあるほどだった。
ただしそれは個体差があり、一生お転婆な子もいる。
――『うさぎのきもち!』うさぎの加齢より抜粋。
「トイレもばっちり、コロコロがモリモリです。食糞もしてるようですし」
「あ、うさぎが自分の糞食べるって本当なんだ。あれってなんで?」
「あれは盲腸糞と言う柔らかい便で、消化するのが大変な食物繊維を盲腸で発酵させて一旦排出するんだそうです。だから栄養満点なんですよ。肛門に口をつけて食べるので目にすることはあまりないんですが、形はぶどうのようだと聞いてます」
「あ、じゃあうさぎは盲腸がまだ機能してるんだね」
「ええ、バリバリ現役です。調べてみたら、胃より盲腸の容量の方が大きいんだそうです。人間の盲腸なんて痕跡程度しかない上に消化機能すら持ってないですから。そのくせ炎症を起こしやがる。忌々しい」
真澄は腹をさすりながら言った。
「まあまあ。うさぎの糞ってコロコロしててちょっと可愛いよね」
「臭いもほとんどないですよ」
そんなようなことを、真澄と高野は食事をしながら話していた。割り込むことなく黙りこんでいた鈴井が、ガン! とグラスをテーブルに置いた。
「お前ら、カレー食ってるときにうんこの話すんじゃねーよ!!」
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