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◆◇◆◇◆
夕食の後、真澄は日課のトイレ掃除に取り掛かることにした。トイレといっても人のものではない。
「ステラさん、出ててもらえますか?」
すっかり真澄の存在に慣れたステラは、ケージのドアが開くとさっと飛び出てくるようになった。たまに着地に失敗してべちゃっと転ぶのはご愛敬。
遊ばせる時、真澄は目の届く範囲でステラの好きにさせていた。だが掃除のときはそうもいかない。真澄は、部屋の隅に置かれていたサークルを使って、ラグの匂いを嗅いでいるステラを囲ってしまった。
サークルは真澄の膝より少し高い程度で、ステラがその気になれば飛び越えられる。うさぎは、強靭な後ろ脚に見合った跳躍力を持っている。しかし飛び越えればそれなりに音もするため、多少目を離しても問題はない。
この世の愛と平和の塊のような見た目だが、うさぎにも縄張り意識というものがある。
個体差はあるが、うさぎがケージにいる時に中のものを弄るのは避けた方がいいとされている。自分のテリトリーを無断で荒らされるのは、誰だっていい気はしない。縄張り意識の強い個体は、侵入者に驚いて噛みつくこともある。
「さて、やりますか」
最初に、真澄はステラのケージからピンク色の三角形のトイレを外した。尿を吸って色濃くなったヒノキのチップとコロコロとした糞を、スーパーのビニール袋にがさっと入れる。目立った汚れがなかったので、新しいヒノキのチップをトイレに入れた。金網は軽くティッシュで拭うだけ。セットし直せば、これでトイレ掃除は終了だ。
ただし、トイレ掃除は毎日行う。毛づくろいの頻度が高いことからわかるように、うさぎはきれい好きで、湿気を嫌うからだ。
だがあまり神経質に除菌などすると臭いまで消えてしまい、うさぎのストレスの元になることがある。同じ理由から、すのこなどもティッシュなどで軽く拭うだけで済ませてしまう。
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