〈6羽〉

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 真澄はゴミをベランダのゴミ箱に入れ、サークルを回収した。ステラは軽やかに跳躍し、ケージの中に戻っていく。ステラがジャンプで美しい弧を描くのを見るたび、真澄は『ふるさと』の歌を脳裏に描いてしまう。  ふんふんとヒノキのチップの匂いを嗅ぐステラの姿に、真澄は目を細めた。 「お水も換えましょうね」  ケージの外側に取り付けられた給水ボトルを取り、風呂場でボトルと吸い口を濯いでから水を入れた。水も毎日取り換え、汚れやすい給水ボトルも清潔に保たなければならない。部屋に戻って設置し直し、一息つく。 「俺も慣れてきましたかね」  ステラと暮らし始めて5日がたった。折り返し地点。  世話に時間は取られるが、真澄にとって、家で誰かが自分を待っていてくれる生活は幸福そのものだ。しかし、そんな生活もあと5日間。 「……今のうちに、もっと写真を残しておかなくては」  放っておいたスマホを見ると、チカチカとランプが点滅していた。立て続けに不在着信が2件。しかし、晴からではない。折り返しかけると、相手はすぐに出た。 「高野さん? どうかしましたか?」 『あ、真澄? 晴が返事くれない理由、なんとなくわかったよ。なんとなくだけど』 「は?」 『真澄が小悪魔でものすごくエロい性悪女に捕まったって噂が、晴の耳にも入ったっぽい』 「……つまり?」 『多分、大事なうさぎを預けた真澄が、自分の家に性悪女を連れ込んでるって思ってるんじゃないかな?』  真澄から迸る殺意もなんのその。ステラは平和そのものな顔で舟を漕いでいた。 〈続〉
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