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〈7羽〉
〈7羽〉
金曜日――。
昨晩の高野からの知らせに、真澄は大いに動揺していた。
『多分、大事なうさぎを預けた真澄が、自分の家に彼女連れ込んでるって思ってるんじゃないかな?』
そんな事実はない。目下のところ、真澄はステラに夢中だ。
真澄は夜のうちに、原因を作った鈴井に犯行予告を出しておいた。それから持参したパソコンを立ち上げ、ここ数日の自分のタイムスケジュールを作成し始めた。
講義のノート、レシート、それからステラの写真を載せて、女なぞ誑しこむ時間がないことを証明するつもりだった。
しかしステラの写真を開くたびに「ああ、可愛いらしい……」だとか、「右下からの口元が写る構図が1番可愛いかと思いきや、真上からのシルエットも素晴らしい」だとか、「可愛すぎて尊い」と見入ってしまった。おかげで作成は難航し、結局完成したのは明け方だった。それから真澄は2時間ほどスマホを握り締めている。
「そろそろ……いや、まだ少し早いですかね」
キッチンの壁時計は朝7時を指していた。ステラを気づかい、キッチンで作業をしていた。
電話を躊躇っていると、奥の部屋からガシャン、ガシャン、と音がする。ステラのご飯の時間だ、と真澄は奥の部屋に足を運ぶ。
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