〈7羽〉

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「お前ってさー、淡泊っつーか、なんというか。晴といて、ドキドキソワソワ的なの感じねーのかよ?」 「これでも、結構ドキドキソワソワキャッキャウフフってしてますよ。顔に出ないだけで」 「わっかりずれーんだよ。そういや、盲腸で倒れた時も倒れるまでケロッとしてたよな。ほんっと、うさぎ並に無だな、お前」  とんでもない、と真澄は大真面目に首を横に振った。 「俺はあんなにキュートじゃないです。それに、慣れたら結構わかりますって。怒ったら目を見開きますし、リラックスしてる時はぼんやりしてます」 「ふーん」  真澄はスマホを出そうとしたが、鈴井に手で制されてしまった。先手を打たれ、舌打ちする。 「イライラしてるときはわかりやすいんだけどな、お前。今とか」 「そこまでイライラしてませんよ」 「イライラじゃなかったら、なんか……今、地味にへこんでるか?」  真澄の目がかすかに揺らぐ――。 「そんなことは」  ないこともない、は省略した。本を片づけ、真澄は席を立った。 「もう講義が始まるので、失礼します。どら焼き、ごちそうさまです」 「おー」  もうすぐ講義が始まるのは嘘ではなかったので、足早に廊下を歩く。  歩きながら、真澄は今朝晴と話したことを思い出した。 『あのさ、真澄ってさ好きな人いんの?』 〈続〉
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