〈10羽〉

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◆◇◆◇◆ 「家族の中に俺の居場所はないんです」  真澄がそう言ったのは、中学2年のクリスマスイヴだった。  街は緑と赤で溢れ、世界全部がちかちかと光っているような夜だ。クラスでのクリスマス会は日が落ちたころに解散した。家の方向が途中まで同じな2人は一緒に帰っていた。  晴と真澄は2人で歩いていた。しかし話を切り出した時、真澄は晴のことを見ていなかった。小さな子供を真ん中に歩く家族連れを見つめていた。 「どういう、意味?」  晴に向かって言ったわけではなかったのかもしれない。それでも、晴は聞き返さずにはいられなかった。  晴にとってクリスマスイヴは、昼間は友達と過ごし、家に帰れば家族と過ごす日だ。  どこか浮かれた調子で歩く人、特別美味しいわけでもないのに食べたくなる骨つきチキン、サンタの砂糖菓子の乗ったホールケーキ、正体を知ってからも来てくれるサンタクロース。目に映るみんなが幸福そうな顔をしている。晴にとって、クリスマスイヴはそういう日だった。 「そのままの意味です。血の繋がった家族はもういません」 「真澄は、誰と暮らしてるの……?」  のっぺらぼうが口を開く。 「赤の他人」     
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