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◆◇◆◇◆
月曜日――。
電車をいくつも乗り継ぎ、飛行機に乗り、真澄は日曜の夜8時過ぎに家に帰り着いた。そのころには告白の余韻は長旅の疲労に上書きされていて、ステラの様子を確認して、ご飯をやり、掃除をし、フローリングの上に倒れた。
いち、に、ぐー。
そうして、真澄は泥のように眠った。
早朝、真澄はとろとろと眠っていた。意識はぼんやりと起きていて、身体はフローリングに沈み込んだまま。遠くの方で、ガチャ、となにかが鳴る。
――ステラさん?
この1週間の習慣でそう思った。その直後、ズシン――となにかが圧しかかって来た。ぎょっとして跳ね起きようとするが、上手くいかない。代わりに、首を巡らせた。
「……晴さん?」
真澄の上に圧しかかったのは、晴だった。着替えもせずに眠っていた真澄のシャツを握り締めて、腹の辺りに顔を埋めている。
「ちょっと、重いんですけど」
真澄は呼びかけに答えない晴の頭に手を伸ばした。引き剥がそうとすればするほど、しがみついてくる。ステラを撫でてやる要領で髪を梳くと、晴は「ヴー」とうさぎ以上に可愛くないくぐもった声をあげた。見た目通りのふわりとした撫で心地は悪くないと思い、真澄は無心で撫でる。
「真澄のバカ」
「やっと喋ったと思ったらなんですか」
「バカだからバカって言った」
晴がじたじたと暴れる。真澄が撫でるのをやめると、それは止まった。
「ねえ、もっと撫でてよ」
意味はわからなかったが、きゅーんとはした。両手でわしわしと撫でると、晴が溜息をつく。真澄の腹が熱く湿った。
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