〈11羽〉

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 晴がケージを開け、飛び出て来たステラを抱き上げた。いつも真澄はステラを抱き上げる際は、万が一がないよう慎重に抱き上げる。しかし、晴は無造作にひょいっと抱き上げた。 「ただいま、ステラ! 会いたかったよー!」  晴がすりすりと頬ずりをしても、ステラは逃げなかった。すんすんと、晴の髪の匂いを嗅いでいる。 「ステラ―! スーちゃーん! 天使! 妖精! かーわーいーいー!」  その間に、真澄がステラの朝食の用意をした。  食い意地の張ったステラだが、今日ばかりは晴の腕の中でおとなしくしている。晴もそのことに気づいていて、ステラの額に鼻先を埋めた。すー、はー、深呼吸。そしてくしゃみ。それでようやく、晴はステラを解放した。  やれやれ、というようにステラはケージに戻ってご飯皿に顔をつっこむ。  晴はむずがゆい鼻を擦りながら、真澄の肩に頬を寄せた。 「真澄って、うさぎっぽいよね」 「無表情なところがですか? 鈴井さんにも言われましたね」 「なんだ、見る目ないなあ。僕には真澄の顔もステラの顔もちゃんとわかるよ」  真澄も晴の方に首を傾けた。こつん、と頭がぶつかる。 「ねえ、真澄は言ってくれないの?」 「なにをです」 「またまたー。とぼけちゃって」 「……就職決まって大学卒業するまで待っててください」 「2年近くも? 遠いなあ」 「すぐですよ、すぐ」  だって10年近くも片想いをしていたのだから――。 「じゃあ、それまでこの間聞きそびれた僕の好きなところ、教えてもらおうかな」 「そうですね。では、まず頭部からいきますと――」 〈続〉
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