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「きっと、これから大変なこともあるだろう。そういうとき、頼ってほしい。この気持ちが、今の君になら届くだろうか」
「……男同士であることに驚かないんですか」
「驚いたさ。けれど、いつだって、私達はきみが気持ちを打ち明けてくれるのを待っていた。そして今日、それが叶った。だから今度は、きみの選択を応援したい」
「……今日、ここに来て、こうして話ができて、良かったです」
「私もだ。今度は夕飯を食べにおいで。真樹は今サッカーチームの練習に行ってるんだけど、あの子も会いたがっていたんだ」
「はい、また来ます。晴さんと一緒に」
話ができたのが『今日』で良かったと、真澄は思う。
小学生の時だったら、中学生の時だったら、高校生の時だったら、わからなかったかもしれない。もしかしたら、もっとこじれてしまったかもしれない。それほど、真澄は頑なだった自負がある。
晴とステラが真澄に気づかせてくれた。
寂しさに気づかせ、晴との縁を結び直してくれたのはステラだった。
転入初日に最初に話しかけてくれたのは、晴だった。家族がいないのだと言った自分を抱きしめてくれたのも、意地を張って倒れた時に肩を貸してくれたのも、ステラに会わせてくれたのも、今日ここに引っ張って来たのも、晴だった。
晴とステラは、いつだって真澄が1人でないと教えてくれる。
〈続〉
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