〈13羽〉

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〈13羽〉

◆◇◆◇◆  ステラのケージは、ひとまず晴の部屋に置かれることになった。  真澄の家に引っ越したことで環境が大きく変わってしまうので、晴が近くにいた方が落ち着くだろうと配慮したからだ。おかげで、真澄は晴の部屋に存分に入り浸ることができる。 「そういえば、お継母さんから聞いたんだけど、宇佐木って亡くなったお父さんの苗字なんだね」 「ええ、そうですね」  宇佐木真澄。  継母の再婚後も、真澄の苗字は変わらなかった。 「きっと真澄のために、宇佐木のままにしたんだよ。気づかなかった?」 「気づかなかったというか……」  しっくりくる言葉が見つからず、真澄は手慰みに膝の上のステラを撫でた。  相変わらずふわふわのもふもふだが、ここ数日で急に毛が抜け始めた。換毛期といって、年に何度か訪れる。その都度程度は違うが、うんざりするほど毛が抜けてしまうのだ。これから掃除に頭を悩ますことになるぞ、と晴は笑った。  うとうととまどろむステラを見て、真澄は合点がいった。 「最初、ステラさんの機嫌とか全然わからなかったんですよ」 「うさぎはわかりづらいって、みんな言うよね」 「ええ。でも、一緒に過ごすうちに、大体わかるようになりました。それと同じです。ようやく、両親がどう思ってくれてるのかわかりはじめた」  晴は微笑んで、真澄の頭を撫でた。されるがままになっている真澄に気を良くして、旋毛に唇を落とす。
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