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ハロウィンナイト
スーパーの福引で大量の菓子類が当たった。
もらうだけは貰ってきたが、俺自身はこういう物は食べないから、さてどうしよう。おいおいと学校の友達にでも分けようか。
部屋でそんなことを考えていたら、ふいに玄関の呼び鈴が鳴った。
覗き穴から外を窺うと、派手な衣装の子供達が部屋の外に数人立っている。
そうか。今日はハロウィンか。
アパートの大屋さんがこういう催しが好きで、玄関先でお菓子を配るんだとはしゃいでたっけ。その流れで住人の部屋にまで子供が訪ねて来ちゃったのか。
ハロウィンイベントをしているのは大屋さん。部屋を借りてるだけの俺達が参加する謂れはまったくない。
負担は確実にそう思い、居留守を決め込むトコロだが、今俺の手元には大量のお菓子がある。
たまたま手に入れた品なんだから、見知らぬ誰かに配っても惜しくはない。そう考え、俺はドアを開けると、お決まりの言葉を口走った子供達にお菓子を与えた。
それを皮切りに、俺の部屋にはひっきりなしに子供が顔を出すようになった。
多分、『あの家はお菓子がもらえる』と広まってしまったのだろう。でも手元には大量の菓子があるから問題はない。
それでも一度にたくさん上げ過ぎるのはよくないと、一人に小さなお菓子を一つずつ渡しているのだが、段々と、訪ねてくる子供の仮装がリアルになっていくことに気がついた。
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